2015年02月15日

ワインレッドの心150 「バレンタイン・HAPPY」

 バレンタインの日にハッピーエンドなライブを楽しめた。チャイルドフッドとタップ、ダンスにお芝居と欲張ったつくりで70分、ちょうどいい寸法だ。戦災孤児というから70年近く前の時代だろうか。孫を連れてきた爺じ、婆ばにはピンとくる懐かしさだ。

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 まり子は、母・静子から作ってもらった赤い靴で軽くタップを踏んで踊ってみせる。だがまもなく静子がなくなり、母子のきずなは切れる。一人になったまり子は、静子の友人である相対性理論の学者に引き取られ美しく成長する。この導入は意外性があり面白い。会場の子どもたちには何のことやらさっぱりわからないようだ。騒ぐ声がある。

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さて、学者の助手が金城だ。まり子が好いているらしいが、学者は金城の素行を怪しむ。自分の「時間を思い通りに操つる研究」を横取りしたいらしい。研究が完成する直前、死に直面した学者は、まり子の赤い靴に何やら細工して姿を消す。赤い靴はタイムマシンだった。時の旅人に導かれるままに、まり子は美しかった若い母・静子の時代に現れる。夢ではなく現実だと母が言う。酔っぱらってふらつく怪しい人物は、未来に飛ばされた金城だ。酒に酔ってチャイルドフッドの一人にプレゼント。酔っぱらいは身を持ち崩した姿か。自分を見るようで恥ずかしい。作者は酒が嫌いらしい。ともあれ、過去と未来がごちゃまぜになっている、と思ったが、パラドックスということかと納得。謎の男が赤い靴の細工を語って謎解きをし、静子、まり子と手を携えハッピーエンド。孤児たちにダンサーが加わり、にぎやかにタップを織り交ぜてグランドフィナーレ。拍手鳴りやまず。

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 チャイルドフッドの楽曲は完成されていて、それだけで楽しめる。すでに出来上がっているものにストーリーをつけ、お芝居やダンスで表現しようという欲張り作品だから、相当な苦労があっただろう。1年余かかったというのも理解できる。アマチュアの集まりだから時間どりも難儀と想像できるが、十分な稽古の積み重ねが伝わってきた。

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 少女のまり子は愛らしく、大人のまり子も伸び伸びと演じていた。静子はたおやかで美しい。金城は舞台慣れしていて観客の目線を裏切らない。軽快な時の旅人は表情がいい。謎の男、やや緊張気味。ダンサーのリーダー・るみこさんはさすがに目が行きわたっている。踊り手の子どもたちの目が輝いて手足に意識が届いていた。

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 公募したバレンタインのメッセージが次々に投射されラストを飾る。嘉子へ ・・・と 愛の言葉がつづられていた。時空のゲートに立つボーイ役の愛妻の名前だと本人に聞かされた。「まさか映されるなんて」とうれしそうだった。

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里見 建
 
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2015年01月04日

[コラム] ワインレッドの心149

林家正雀 若草・十日市のお地蔵様を創作落語に

 「ないものは猫の卵と馬の角」なんでも売るー南アルプス市の若草十日市
毎年2月10日、11日に開催される。甲府盆地に春を告げる祭り、臼や木工製品が並び沿道には露店が連なる。祭りの真ん中辺にあるのが安養寺。市神の「鼻採り地蔵」を祀る。修験の行者が参拝客の願が叶うよう護摩を焚き上げる。

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安養寺(南アルプス市若草)

厨子の中のお地蔵様は優しいまなざしで微笑む。
 落語家の林家正雀がこのお地蔵様を落語にし、地元の白根CATVで12月20日から放送が始まった。
正雀が地域の説話を基にした落語を作るのは今回で3作目になる。

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林家正雀

1作目は「満天の星」 南アルプス市の山深い地にあった「幻の須澤城」から材をとった。同市の了円寺に残された縁起書の中に須澤城の悲劇が記してあった。
初演はコラニー文化ホール。大好評だった。

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落語の収録

 このニュースを知った埼玉県大滝村のNPOが正雀に創作を依頼した。村に伝わる赤い鳥の伝説に男女の機微を加え、得意の芝居噺(しばいばなし)に仕立て森の円形劇場で披露した。屋外での口演は初めてだったが村民の全員が客となった。

 「鼻採り地蔵」の説話は全国に広く残っている。猫の手も借りたい田植えの時期、田んぼを鋤く馬(牛)の鼻をとれる人手がなくお百姓が困っている。そこへ見知らぬ童が現れて馬の鼻をとり、手際よく田を鋤(す)いて代(しろ)かきも終え、無事田植えができた。お百姓は喜ぶが、童は姿を消す。ところが信心するお地蔵様にお参りすると、足に泥がついている。これはお地蔵様が助けてくれたものだとわかる。

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安養寺本堂

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解読に浮いて説明を受ける正雀

 若草のお地蔵さまも馬の鼻をとって、お百姓を助ける。だがその足についた泥を見たお百姓は村のいたずらっこの仕業と誤解して怒り、足をあらってしまう。お地蔵様は「泥は助けの証し」と百姓に心得違いであること、そして子どもたちを大事にするようさとす。

 もとになった古文書は南アルプス市教育委員会の担当が解読、前出の了円寺や白根文化協会、若草の地元長老も台本つくりに協力した。正雀は安養寺に2度足を運び、お地蔵様のイメージをつかんだ。

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安養寺の鼻採り地蔵

折あしく暮れの忙しさにかまけて落語つくりは難航、出来上がったのは収録前日。「風花や 宵の賑わい 十日市」の俳句で噺が始まった。初春の晴れ渡った青空のもと十日市の賑わいを詠んだ。正雀オリジナルの一句だ。高座は寺の本堂。鼻採りの童が地蔵と分かり、お百姓をさとす山場は得意の芝居語りで迫力を出した。本堂の客席からため息が漏れた。正雀は暮れの定席でトリを務めている。了円寺の住職は「男の花道」を聞いて涙が出た、と話していた。
正雀はうまさにますます磨きをかけている。 

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2015/01/04


里見 建
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2014年09月24日

ワインレッドの心148「故郷で炸裂!森山威男ジャズナイト」

故郷で炸裂!森山威男ジャズナイト

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森山威男

 暗転のステージに明かりが差すとドラムスが弾け、トランペット、アルトサックス、テナーサックスがソロで切り結んで押しまくる。プレーヤーは見た目落ち着いたオジサンたちだったのに、いきなりものすごいパワーでオープニング。激しくヒートアップした後の2曲目は「渡良瀬(わたらせ)」。利根川の支流を曲にした。静かなせせらぎから始まる。しっとりと情景が浮かんでくる。緩急がくっきりして入りやすい。 

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ドラムスの森山威男が故郷・甲府のステージに立った。数年前、母校の甲府一校ブラスバンドと共演して以来だ。終戦前の生まれだから、もう70歳になる。だが、パワーは衰えるどころか、40年余、全力投球でたたき続けている。曲間にマイクをとり若いころをぼそぼそと語る。芸大に入ったがクラシックばかりで面白くなく、退学しようと思って悩んだ学生時代。そんなときに心にしみてきたのが「ダニー ボーイ」3曲目。聞きなれたテーマをピアノがしっとり奏でる。だがすぐにジャズテイストになる。

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サイン会

卒業した森山はジャズピアニストの山下洋輔と知り合い演奏活動へ。最初3、4人しかいなかった客がアッという間に数百に増えヨーロッパのジャズフェスにも遠征出演、そのころになると見たこともない100万のギャラに驚いた。以来、現在まで全力炸裂のドラムスが長くファンを引き付けてきた。プレーヤー仲間からは「もっと楽にやってくれ」とか「力が抜けないのか」とも言われる。だが、「できない。枯れたドラマみたいでなく、いっぱいのままでスパッと終わりたい」と答える。父親にも「そんなにたたかないと食えんのか」と聞かれたことがあった。

ジャズは一対一、今のグループは6年目。7人のベテランと真剣勝負を見せてきた。6曲目は「東雲(しののめ)」。森山は勝沼の生まれで東雲という地名があるのだが、それではなく夜明け前の青暗い空=「なまよみの甲斐」のイメージだと思った。トロンボーンが目覚めのときをゆっくり告げてテーマを展開させていく。
休憩のあとはファンサービスのじゃんけん大会。森山に勝った客二人にメンバーのサイン入りのカバーやスティックをプレゼント。甲府一高の後輩がゲットした。

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じゃんけん大会

汗だくでエンディング曲を終えドラムスから離れると、アンコールの大合唱。
あっという間、濃密な2時間だった。サイン会で同級生と旧交を温めていたが皆若さがあった。団塊の世代のちょっと前の人たちだ。「生涯現役」の顔が並んでいた。もう一度見たい。

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フィナーレ

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後輩から花束


2014/09/24

里見 建
posted by ミルジイ at 13:32| Comment(0) | 日記